デジタル庁のガイドブックで進化するWebアクセシビリティ対応
デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」により、企業のWebアクセシビリティ対応がより分かりやすく、実践しやすくなりました。従来のWCAGやJIS規格と互換性があり、具体的な手順も明確に示されています。これを活用すれば、サイトの利便性向上や信頼性の強化につながり、より多くのユーザーに快適な体験を提供できます。企業にとっても新たな機会となるため、このガイドブックを参考に、アクセシビリティ対応を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

近年、Webアクセシビリティの重要性が増す中、企業の広報担当者やWebサイト担当者は、その対応に頭を悩ませていることでしょう。従来、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)やJIS X 8341-3といった規格が存在していましたが、その内容は専門的で解釈が難しく、具体的な実施方法を見出すのは容易ではありませんでした。
しかし、デジタル庁が新たに策定した「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は、これらの課題を解消し、企業のアクセシビリティ対応を大きく前進させるものとなっています。本稿では、このガイドブックの特徴と、その活用方法について詳しく解説します。
従来のアクセシビリティ規格の課題
これまで、Webアクセシビリティ対応の指針として、国際的なWCAGや日本国内のJIS X 8341-3が存在していました。これらの規格は、障害のある方や高齢者を含むすべてのユーザーがWebコンテンツを利用できるようにするための基準を定めています。しかし、その内容は技術的で専門性が高く、具体的に何をどのように実施すればよいのかが明確でないため、多くの企業が対応に苦慮していました。
例えば、WCAG 2.0は2008年に策定され、その後2018年にWCAG 2.1、2023年にWCAG 2.2と改訂が行われています。しかし、これらの改訂内容を把握し、適切に対応することは容易ではありませんでした。
デジタル庁のガイドブックの登場
こうした状況を受け、デジタル庁は「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現するため、2022年12月に「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」を公開しました。このガイドブックは、ウェブアクセシビリティに初めて取り組む行政官や事業者向けに、ウェブアクセシビリティの考え方、取り組み方のポイントを解説する、ゼロから学ぶ初心者向けの内容となっています。
このガイドブックの特徴は、何をどのように実行すればよいかが非常にわかりやすく説明されている点です。具体的には、ウェブアクセシビリティの基礎知識から、具体的な対応手順、さらに試験の実施方法や結果の公開方法まで、実践的な内容が盛り込まれています。
WCAGやJISとの互換性
デジタル庁のガイドブックは、WCAGやJIS X 8341-3とも互換性があります。具体的には、JIS X 8341-3:2016は、WCAG 2.0およびISO/IEC 40500:2012と技術的に同一の内容となっており、国際的な基準と一致しています。 そのため、デジタル庁のガイドブックに沿って対応を進めることで、国際的な基準にも適合することが可能です。
ガイドブックに沿った対応のメリット
デジタル庁のガイドブックに沿ってアクセシビリティ対応を行うことで、以下のようなメリットが期待できます。
- 具体的な実施手順の明確化:ガイドブックには、ウェブアクセシビリティ方針の策定から試験の実施、結果の公開までのプロセスが詳細に記載されており、担当者が何をすべきかが明確になります。
- 最新の基準への対応:WCAGはバージョンアップを重ねており、最新の2.2では新たな達成基準が追加されています。デジタル庁のガイドブックを活用することで、これら最新の基準にも対応しやすくなります。
- 社内外への信頼性向上:公的機関であるデジタル庁のガイドブックに準拠することで、社内外に対してアクセシビリティ対応の信頼性を高めることができます。
実践に向けて
デジタル庁のガイドブックを活用してウェブアクセシビリティ対応を進める際には、以下のステップが推奨されています。
- ウェブアクセシビリティ方針の策定と公開:自社のウェブサイトにおけるアクセシビリティの目標や対象範囲を明確にし、方針として公開します。
- アクセシブルなウェブコンテンツの制作:策定した方針に基づき、ウェブコンテンツを制作・改修します。
- 試験の実施と結果の公開:制作したコンテンツが方針に沿っているかを試験し、その結果を公開します。
これらのステップを継続的に実施することで、ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上を図ることができます。
リンク
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック(デジタル庁)
https://www.digital.go.jp/resources/introduction-to-web-accessibility-guidebook
Webアクセシビリティへの対応をラソナがサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。