「逆の発想ないの?」「他の視点ないの?」クライアントの期待を“裏切ること”を考え続けて27年!

  • インタビュー

(※本インタビューは2016年に実施したものを再編集して掲載しています)

今回は2016年のBtoB広告賞<スペシャルサイトの部>銀賞受賞に伴い、デザインコンセプトを考えた弊社代表の岡村にインタビューをしました。常日頃からクライアントに対峙し、第一線でデザインをしている岡村。その考え方やラソナを立ち上げる前の話も紹介していきたいと思います。

ひらめきで思いついて、いいことなんてない!考える時に大事にしていることとは?

-今回のBtoB広告賞を受賞した『Tokyo 2020 and Beyond』のデザインコンセプトを改めて教えて下さい。

今回はコンペだったので、他社がどんな風に提案してくるか?についても想定して、コンセプトを決めていきました。テーマとして「オリンピック」がありましたが、本来クライアントが伝えたいことは、オリンピックそのものではなく、GEさんがそれを支えているということ、またオリンピックが終了した後も日本のインフラを支え続けていくという姿勢です。それを伝えなければいけなかったので、オリンピックをイベント的な要素とは違う見せ方で紹介していこうと考えました。

BtoB広告賞を受賞したサイト:Tokyo 2020 and Beyond

それがGEさんの事業内容とオリンピックをリンクして理解させるというものです。
GEさんの事業内容であるインフラという事業は、見えないところで全体を支えている、言わば全ての基盤となる事業です。それを「オリンピック」という大会に例えて表現しました。つまり、オリンピックも表舞台に立つ選手だけでなく、支える人が周りにたくさんいて、全員が協力することによって成り立っている。そこを伝えることで、GEさんがやっていることを理解してもらおうと思ったのです。そういう考え方から『Support the Success』というコンセプトで提案することになりました。


—そのようなコンセプトは、どのように思いついているのでしょうか?

意識しているのは、“何回も、何回も、考えること”。
一度思いついて、それで終わりではなく、何回も自分で答え合わせをします。

「その場の思いつきじゃないか?」「ありがちじゃないか?」「考えが浅くないか?」「ユーザーに間違って伝わらないか?」「クライアントにきちんと説明できるか?」「作ることができるか?」「希望予算にあてはまるか?」

このように、クライアント目線、ユーザー目線、制作目線など、いろんな観点から想像し、納得がいくまで考えます。一回考えて、答えに辿り着くことはなくて、いい考えが思いついた!と思えた時こそ、別の作業をして、冷静になって、もう一度考えてみる。そういう答え合わせを自分の頭の中で何度も何度もした上で、考えを深めていくという方法を取っています。

お笑いのことばっかり考えてた高校時代。そのおかげで身に付いた力とは?

—スペインで絵描きをしていた、という少し変わった経歴ですが、昔からずっと絵描きになりたかったんですか?

子供の頃から絵を描くのが好きで、もちろん上手かったし(笑)絵描きになりたいと思ってました。

でも、中学高校のころは、それよりも“お笑い”に興味がありました。地元が関西ですしね。と言っても芸人になりたい、というわけじゃなくて、“どうしたらおもしろくなるか?”、“どうしたら相手を笑わせることができるか?”をずっと考えてた感じです。友達に無理やり好きな子を聞き出して、告白するストーリーを勝手に考えてやらせたりとか(笑)そういうことばっかり考えてました。

思えば、そこで「発想力」とか「コミュニケーション力」が養われたのかもしれません。
“逆の発想はないのか?”、“相手の想像を超える視点はないか?”それを考えることが楽しかったんです。

それは今も同じこと。
例えば、クライアントとの打ち合わせの時でも、常に相手がおもしろがることを言ってみようとしています。新しい技術のことでも事例でもいいから、話し合いに新しい視点を加えることを意識しています。一方的に相手の話を聞くだけでは、情報が薄まっていくだけ。それは“コミュニケーション”とは言えません。一緒にゴールを目指すクライアントに対して、失礼ですよね。こちらからも情報を出すことで、聞き出せることもあるし、常に相手の想像を超える努力をしないと。

※情報はTV、スマホ、iPadなどいろんなものから収集しているという。TVを見ながら、iPadでサイトを見て、分からないことをスマホで検索したりと、気になることはとことん調べる主義。

 

—そうやって常にアンテナを立てて周りをリードしてきて・・ラソナも26周年になりました。人を育てる上で大切にしていることはなんですか?

自信をつけさせてあげるのが1番だと思います。
自信がつけば、精神的にもゆとりが持てる。自分の意見が言えることはもちろん、相手の話を聞くこともできます。

それじゃあ、その自信をつけるためにはどうしたらいいか、というと『褒められること』だと思います。なんでもいいから褒められればいい、いうことではなくて、「自分でも頑張ったと思えること」がきちんと評価されて褒められること。自己評価と周りの評価がつながっていること。それが大事。そこではじめて自分の成長が実感できて、自信がついていくんじゃないかなと思います。

だから、初めてのこと、レベルが高いことに、どんどんチャレンジしてほしいですね。
ラソナではそういう環境づくりをしたいと思ってるし、チャレンジする人はサポートするし、応援するし、評価するようにしています!

※スペイン留学の際、飛行機で直接行くのではなく、いろいろな国を回っていったそう。そこでの経験も活きてきているんですね。

これからの挑戦したい2つのこと

-では、今後チャレンジしたいことは何ですか?

「賞を獲りにいく」ということをやってみたいなと思ってます。作ったものが“結果として評価され、賞を取る”のではなく、“自ら狙って獲りにいく”。そういうことにチャレンジしてみたいです。

絵描き時代にスペインで大きな賞を獲った時にも「自分が描きたいもの」と「評価されるだろうもの」を考えて、それぞれの方向からアプローチをしてゴールを探るということをやって、結果につながった経緯があったので、それをラソナでも挑戦してみたいなと思っています。

プライベートでは、メキシコに行ってみたい。
メキシコのバハ・カルフォルニアに見応えのある動物がいっぱいいるらしいと聞いたので、それを観に行ってみたいなと思っています。ちょっと休んで行ってきてもいいですかね?(笑)

編集後記

正直に言うと、インタビューをするまで岡村のいろいろな考えや発想は、ひらめきで思いついていて、自分にはない芸術家ならではのものだと思っていた。そう思うことで、自分にはないことを納得させていたのかもしれない。でも、そうではなかった。何度も考える、というとてもシンプルだけど大事なこと。それを繰り返すという行為に裏付けされた上での発想であるということが、今回話を聞いてみてよく分かった。「どうやったら相手の期待を裏切れるか?」と考え続ける姿勢は、今後自分も意識するようにしたいと思った。

 


 

インタビューに答えてくれた人

岡村 侑哉 / おかむら ゆうや

1968年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学を中退し画家を目指してスペインに渡る。4年半の活動後帰国し、1996年にラソナ設立。デザインによる課題解決に情熱を燃やす。趣味は旅行。コスタリカの国立公園に長期ステイが夢。

インタビュー / テキスト

釘宮 葵 / くぎみや あおい

大手Web専業代理店オプトに新卒入社。幅広いデジタルプロモーションを経験。2010年からラソナにジョイン。総合代理店を中心に、サイトやアプリ制作、SNSの運用などコミュニケーション施策に強みを持つ。ラソナで働く一方、地元埼玉で農業法人にも所属し、ダブルワークを実施。Webと農業と幅広く活動中。

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